湿疹
湿疹は、皮膚科を受診される患者様にとても多く見られる症状で、簡単に言うと皮膚表面の炎症です。
ブツブツや小さな水ぶくれ、赤みなどが混ざって現れます。湿疹は痒みを伴うことが多いため、ついつい掻いてしまいがちです。しかし、掻いて改善することはなく、むしろ掻くことによって患部を掻き壊してしまい、化膿や悪化を招き、患部が拡大してさらに痒くなる、という悪循環に陥りがちです。
症状は数日から1週間以上続きます。
湿疹の原因
- 湿疹が出来やすい体質(敏感肌・乾燥肌)、アレルギー、体調不良
- ストレスや寝不足
- 金属などの刺激物の接触
- 皮膚表面がこすれる
- 内服薬などにより体の内側から起こる など
湿疹の治療
原因を取り除き、ステロイド外用など早期治療が重要です。
よく見られる疾患なので、簡単に湿疹と判断しがちですが、違う皮膚症状の場合もありますし、慢性化すると治りにくくなります。慢性化させないためにも、症状が続くようなら早めに皮膚科で受診しましょう。
かぶれ
外界の物質が皮膚に触れることによって生じる皮膚炎のことで、いわゆる「かぶれ」と呼ばれているものです。
原因物質が接触した場所に、赤みや水ぶくれ、かゆみなどを引き起こします。
部位によって原因物質の種類に特徴がみられます。
一次刺激性接触皮膚炎
原因物質の強い刺激作用によって生ずる湿疹・皮膚炎のことで、これは誰にでも生じえます。
- 主な刺激物の例
-
- 毒草
- せっけん
- 洗剤
- ガソリン
- セメント
アレルギー性接触皮膚炎
身近な物に対するアレルギー反応が原因で起こる皮膚炎です。
アクセサリー、ゴム、化粧品など身近なものや、時計やブレスレット、ゴーグルなどに使われるクロム、ニッケル、コバルトなどの重金属でかぶれることがあります。
特定の物質に過敏に反応する人にだけ起こるアレルギー反応によってかぶれが生じます。
かぶれの治療
まずは原因物資を特定し、それに触れないようにすることです。当院ではジャパニーズスタンダードアレルゲン24種類に対して、パッチテストパネル®によるパッチテスト検査が可能です。
皮膚炎に対しては、ステロイド外用、かゆみに対して抗ヒスタミン薬の内服を行います。皮膚炎の症状が強いときにはステロイドの内服を行う場合もあります。
かゆみを伴うことが多いため、長期間にわたってかいたりこすったりすると、苔癬化といって、皮膚が厚くなり、硬くてゴワゴワした状態になり、難治となります。かきむしった場所から雑菌が繁殖する事もあり、症状の悪化やトラブルの長期化を招きますので、早めに皮膚科を受診しましょう。
乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)
乾燥肌とは、皮脂分泌が低下し、乾燥を来たして角質(皮膚の一番上層)が剥がれてしまった状態です。皮膚表面がカサカサしたり、白い粉をふいたようになったりして、ひび割れが生じて痒みや痛みを覚えます。
老化や空気の乾燥、洗剤や薬剤への接触など、様々な原因によって皮膚の機能が低下して皮脂の分泌が減少し、そのために皮膚の乾燥が生じることで起こります。
肌が乾燥すると通常弱酸性に保たれている皮膚のpHがアルカリ性に傾き、、髪や衣服が触れる程度の刺激でかゆみを感じたり、普段使い慣れた化粧品で赤くなるなど、刺激に対して敏感になります。
診断と治療
視診によって診断は容易につき、治療には保湿剤が処方されます。炎症を伴う場合には、ステロイド外用薬を使うこともあります。痒みが強いようなら、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服薬が用いられたりもします。
乾燥肌に悩む方の多くは間違ったスキンケアが引き金になっているケースがあります。自己判断はかえって症状を悪化させることがありますので、ぜひ早めにご相談にお越しください。
水虫(足白癬 爪白癬、体部白癬)
足白癬は3種類に分類されます。
1. 趾間型(しかんがた)
足の指の間が赤くなり、かゆみが生じます 足の指の間、とくに薬指と小指の間が赤く腫れ、皮膚が白くふやけてジクジクし、赤くただれ、かゆみが生じます。水虫に一番多いタイプといわれています。
2. 小水疱型(しょうすいほうがた)
足の裏の土ふまずや、足の指の付け根に近い部分などに、小さな赤い水疱ができます。激しいかゆみをともないます。水泡が目立たず、薄い皮がむけるだけの人もいます。
3. 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
角質増殖型は稀な病型で、かゆみはありませんが、足の裏全体やかかとの角質層が厚く、硬くなっていきます。こすると皮がむけたり、あかぎれのようなひび割れを起こします。はがれた角質が床に落ち、そこから感染することがあります。
爪白癬
爪の先が厚くなり、黄白色に濁る爪水虫(つめみずむし)です。 爪の表面に光沢がなくなり、厚く白濁し、爪の質がもろくなります。他の爪に感染したり、治りにくいなどやっかいな水虫です。足の水虫をきちんと治療しなかったために、足の爪に白癬菌がうつるというパターンが多くみられます。
体部白癬
顔、体幹、手の甲、足の甲までありとあらゆる場所に繁殖する可能性があり、初期は虫さされのような赤いブツブツやカサカサができ、その後赤い輪となって広がります。かなりの激しいかゆみをともないます。
診断と治療
顕微鏡検査や培養検査を用いて真菌を検出し、外用薬にて治療を行います。硬い踵の水虫には、内服薬での治療を行うこともあります。安易な市販薬の使用でかぶれることもあり、きちんと診断をつけてから治療を開始することが大切です。
タコ
どこかの皮膚の一部が慢性の刺激を受けて角質層が厚くなる病気です。
刺激を受けた辺り全体の皮膚が少し黄色味を帯びて、厚く硬くなって盛り上がって来ます。生活習慣や職業やその人の癖などにより、身体のあちこちにできます。(ペンダコや座りダコなど)
痛みの無いことが普通で、むしろ厚くなった角質のために感覚が鈍くなっていることもあります。
タコに痛みや赤みを伴う場合は、細菌感染を起こしている可能性があり、抗生物質で治療をする必要がありますので早めに皮膚科を受診して下さい。
特に糖尿病の患者さんでは重症化し易いので注意が必要です
うおのめ
特定の場所に継続的に圧力がかかることによって発症します。足の裏や手のひら、指と指の間にでき、硬い芯のようなものがみられます。
圧迫や歩行などに伴って激しい痛みを伴い、生活に差し支えることがあります。
ご自身で芯を取ろうとした場合、雑菌が入ってしまうことも考えられますし、芯が残っていると再発しますので、うおのめでお悩みの方は一度ご相談ください。
ガサガサ踵(かかと)
疾患名としては「角化症」と呼ばれています。
身体の皮膚の多くの部分には、皮脂を分泌するための皮脂腺というものがあり、その皮脂腺が皮脂を正常に分泌することで皮膚のトラブルを防ぐ役割をもっています。
しかし、かかとには皮脂腺が存在しないため、角質層が乾燥しやすく固まりやすいので、硬くなったりガサガサしてしまうのです。
ガサガサ踵(かかと)の原因
外的刺激
普通に歩くたびにかかとには体重がかかります、また夏場には裸足やサンダルで過ごすことが多く、紫外線の影響を受けやすくなります。そのような外的刺激により、角質層のセラミドや保湿因子が不足し、細胞間に水分が行き渡らなくなることで、乾燥して荒れた状態になり、角化症を引き起こします。
乾燥
冬場の乾燥した時期はさらに角化症が進みやすく、白い粉をふいたりするだけなく、かかとのひび割れを起こすことがあります。加齢や疲れ、ストレスによって肌が生まれ変わる力が乱れることで、古い角質がはがれにくくなることも角化症の原因のひとつとして考えられます。
じんましん
じんましんの症状
じんましんは、最初に蚊に刺されたときのような赤いふくらみが、だんだんと広がったり、体のあらゆるところに出てきたりする皮膚疾患で、通常は数十分から数時間で症状が治まるのが特徴的です。
典型的なじんましんの症状は、下記のようになります。
- 皮膚が赤く盛り上がる
- 強い痒みを伴う
- 急に発症し、しばらくするとすっかり消失します
じんましんの原因
じんましんは、大きくアレルギー性と非アレルギー性の二つに分けられます。
アレルギー性のじんましん
アレルギー性のじんましんでは、食べ物や食品添加物、動植物などを、これらに含まれるアレルギーの原因物質を体が異物として認識してしまい、アレルギー反応が起こります。
その際に細胞からは様々な化学物質が放出されるのですが、そのなかのヒスタミンの作用によって皮膚は赤く腫れてしまいます。また、ヒスタミンは、ヒスタミンはかゆみを感じる神経を刺激するため、かゆみも出現します。
アレルギー性のじんましんを誘発しやすいものとしては、例えば下表のようなものが挙げられます。
- 食べ物
- 肉類、卵、魚介類、乳製品(牛乳など)、穀類、野菜、食品添加物
- 特に小麦、そば、乳製品、卵、落花生は五大アレルギー成分と言われています。
- 植物・昆虫など
- 蕁麻(じんま:イラクサ)、ゴム、ハチなど
- 薬剤
- 抗生物質、解熱鎮痛剤、せき止めなど
非アレルギー性のじんましん
摩擦、圧迫、寒冷刺激などが原因となって起こるタイプのじんましんで、稀に痒みが伴わないこともあります。
非アレルギー性のじんましんには以下のようなものがあります。
- 物理性じんましん
- 下着などによる摩擦、バッグなどの持ち手による圧迫、暑さ・寒さ、マッサージ器などによる振動、日光など、物理的刺激によってじんましんが生じる場合です。
- コリン性じんましん
- 入浴、運動、心理的緊張による汗などが原因となってじんましんが現れるケースです。小児から20歳代に発症のピークがあり、年を取るにつれて軽くなることが多いようです
- 特発性じんましん
- 原因が特定できないじんましんのことです。原因がわからないとは言っても、疲労やストレス、かぜなどが症状を悪化させることは知られています。
じんましんの治療
じんましんの治療には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服薬を使用します。
通常は、薬を飲むことで症状は次第に治まっていきます。
ただし、抗ヒスタミン薬は症状が消えても一定期間は飲んだ方が良いようです。薬を飲み続ける期間は、急性じんましんと慢性じんましんで異なります。自分で判断せずに、必ず医師の指示に従いましょう。
軽度のじんましんであれば、抗ヒスタミン薬だけを使用し、痒みを止めて回復していくのを待ちますが、痒みが我慢できないほどひどいような場合は、ステロイド外用剤などを使用することもあります。
ステロイド外用剤を使用することで、痒みを早く抑えることができるので、ストレスも少なくなり、患部を掻き壊してしまうのを避けることができます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎は、痒みのある湿疹が体や四肢の左右対称にできる慢性的な皮膚疾患で、良くなったり悪くなったりを繰り返します。皮膚症状が、患者さんの年齢によって変化するのも特徴的です。
アトピー性皮膚炎の原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、遺伝的な体質に加え、食生活や環境的要因が影響して発症すると考えられています。
多くの患者さんは、皮膚が乾燥しやすい素因(ドライスキン)とアトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)を併せもっています。
アトピー性皮膚炎の治療
外用療法
外用療法がアトピー治療の基本となります。炎症を抑えるステロイド外用剤、タクロリムス軟膏、JAK阻害外用剤などを、湿疹の状態、場所、年齢などによって使い分けます。
内服療法
かゆみを抑えるため、症状にあわせて抗アレルギー剤を中心に内服薬が処方されます
生物学的製剤
皮膚の内部で免疫細胞が産生する物質の働きを抑えることで、皮膚の炎症を抑え、かゆみや皮疹などの症状を改善する薬です。
当院では中等症以上の患者様に、デュピルマブによる注射治療を行っています。
保湿も重要
アトピー性皮膚炎は皮膚が乾燥しやすいため、普段は何ともない刺激でも過敏に反応し、かゆみが出てくることがよくあります。そのため、保湿性外用剤を使い、皮膚を保護することで外部からの刺激を減らすことでき、かゆみを起こしにくい皮膚にすることが大切になってきます。
どの薬をどのように組み合わせて、どのくらいの量を使うかは、医師が患者さん個々人の皮膚の状態等をよく診て判断します。
アトピー性皮膚炎の治療の目標
アトピー性皮膚炎の治療の目標は、この疾患であることをそれ程意識しないで日常生活を送ることができ、また周囲の人にもアトピー性皮膚炎であることがわからないくらいにまで症状を改善し、その状態を維持することです。症状が出てから塗るのではなく、症状を出さないように抑え込んで寛解を維持するプロアクティブ療法が大切です。
ステロイドや免疫抑制外用薬の塗り薬などを適切に使い、スキンケアを上手に行っていけば、多くの人は、この目標を達成できます。定期的に通院していただき、皮膚が一番良い状態を維持できるようにしましょう。
また、当院にて継続して半年以上治療を行っても難治の場合は、デュピルマブ治療などの検討をいたします。
手荒れ
手荒れ(手湿疹)について
毎日水仕事をする主婦の方や調理師、美容師・理容師などにはよく手荒れ(手湿疹)がみられます。乾燥する時期はどの方も手が荒れやすく、暖かい時期が来れば良くなると思われることが多いのですが、中にはなかなか手荒れが治らず、一年中悩まされる人も少なくありません。
手のひらや指を中心に発赤・びらん・乾燥などの症状が現れます。ひどくなると亀裂が生じて痛みが出てくることもあります。強いかゆみがみられることが多く、かくことでさらに症状が悪化していきます。
手荒れの原因
日常生活で触れるさまざまなものの刺激が原因となりますが、特に皮膚の表面を保護する脂質がもともと少ない体質(乾燥肌)であったり、水やシャンプー・洗剤などをよく使ったりする人に多く起こります。
空気が乾燥しやすい秋から冬にかけて悪化することが多いです。手荒れは、特にアレルギー体質の方に生じやすく、手荒れの原因となる仕事を中止できない方は治りづらいものになります。
手荒れの治療
手荒れ(手湿疹)の治療では、ステロイド外用剤と保湿剤を用います。
保湿剤を使用することで手を保護し、刺激から皮膚を守るようにします。炎症が強い場合は、保湿剤とステロイド外用剤を使用する早期に改善するようにします。
頭のかゆみ、フケ(脂漏性皮膚炎)
あたまのかゆみについて
脂腺の多いところに生じる湿疹で、頭や顔、胸背部などにできやすいのが特徴です。
一般的には子供やお年寄りに起こりやすい皮膚炎です。
髪の生え際にベたつきなどを感じ、同時に炎症、フケとかゆみが発生する症状です。
フケ(脂漏性皮膚炎)
乾燥性のものと、油分を多く含んだ湿潤性のものとがあります。乾燥性フケは頭皮の乾燥が原因でシャンプーでの洗いすぎか、極端な洗髪の不足が考えられます。
湿潤性のものは、皮脂の分泌が多いことが影響しています。
原因
体質、食事、ホルモンバランス、ストレス、生活リズムの乱れ、汗などが関係していると考えられ、その他、皮脂成分の質的異常や皮膚機能の老化が関係しています。 また、でんぷう菌(マラセチア)の感染が関与することがあります。
治療
強過ぎないように気をつけながらもしっかり洗うのが基本で、そうした後にステロイド軟膏とでんぷう菌に効く抗菌薬を塗ります。
シャンプーを変えたり、規則正しい生活を心がけても、かゆみやフケがほとんど改善しない場合はぜひご相談ください。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスの症状
唇のまわりに赤い小さな水ぶくれができて痒みや痛みが伴い、疲れやストレスで体が弱っている時によく繰り返し発症します。これらが口唇ヘルペスにみられる典型的な症状です。
原因
この疾患の病原体は「単純ヘルペスウイルス1型」です。ウイルスを持っている人と接触したり、ウイルスが付着した物に触れたりすることで感染します。
ヘルペスウイルスは、一度感染すると症状は治っても、頭部にある三叉神経節という太い神経の集まっているところにもぐりこんで住み着いています。潜伏したヘルペスウイルスは、現在のところ退治することはできません。そして、風邪や疲労、ストレスなど体の抵抗力が衰えている時などに、急に暴れ始めるのです。
治療
主に抗ヘルペスウイルス薬を用います。飲み薬と塗り薬があり、場所や症状の程度などによってそれぞれ使い分けます。発疹の出る前にチクチクするなどの予兆が出ることも多く、その時点で治療を始めると、治りが早くなります。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって発症しますので、水痘(水ぼうそう)を経験した人あるいは、水ぼうそうが出なくてもそのウイルス感染した人に起こります。
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節という部分に潜んでおり、加齢や疲労、ストレスなどが引き金となってウイルスに対する抵抗力が低下すると、潜伏していたウイルスは再び活動を始めて増殖し、神経を伝って皮膚に達し、帯状疱疹として発症するのです。このとき炎症は、皮膚と神経の両方で起こっています。
症状
ピリピリ、チクチクした痛みや皮膚の違和感から始まり、しばらくするとその部分が赤い斑点になり、やがて帯状の水ぶくれになって、神経痛のような強い痛みを伴うようになります。
水ぶくれは、小豆大くらいのまでの大きさで、頭部から下肢までの左右どちらか片側に生じることがほとんどです。
軽い発熱や頭痛、リンパ節の腫れがみられることもあります。
体に帯状疱疹ができた場合は、体半分の肋骨に沿って水ぶくれや赤みが帯状にみられます。
治療
帯状疱疹は、いち早く皮膚科を受診して早期のうちに治すことが大切で、これにより帯状疱疹後疼痛の発症頻度を少なくすることができます。
帯状疱疹の治療にあたっては、ウイルスの増殖を阻止して治癒を早める抗ウイルス薬や対症療法として消炎鎮痛薬が用いられます。 抗ウイルス薬の飲み薬は、効果が現れるまでに通常2日くらいかかりますので、服用してすぐに効果が現れないからといって服薬量を勝手に増やしたり、途中でやめたりしないで、必ず医師の指示通りに服用してください。
治療開始後、多くは1週間くらいで赤みや水ぶくれが少し落ち着き、その後はかさぶたができ、3週間程度で治ります。
皮膚症状が治まった後も痛みが残ることがあり、何ヶ月と続く場合があります。
なお、帯状疱疹が他人に帯状疱疹としてうつることは無いのですが、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児には水ぼうそうを発症させる可能性がありますので、帯状疱疹の患者さんは小さな子どもとの接触を控えましょう。
帯状疱疹の予防
帯状疱疹は前記のように加齢、疲労、ストレスなどによって体の抵抗力が落ち、おとなしかったウイルスが活動し始めることで起こります。
したがって、予防のためには日頃から栄養バランスに留意した食事を摂って睡眠を十分にとり、また適度な運動も心がけ、心身の健康に気を配って体力を低下させないことが大切です。
ほくろ
ほくろは、正式には色素性母斑と言い、皮膚の一部にメラノサイトという細胞が集まってできたものです。
ほくろは皮膚悪性腫瘍、特に悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が大切です。悪性黒色腫はリンパ節に転移しやすく、進行の速いことが多いため、悪性度が高いです。
短期間で急に大きくなったり、色が濃くなったり、色素が周りの皮膚に染み出してきたり、硬化してきたような場合は注意が必要です。
気になるほくろが見つかったら、早めに皮膚科を受診しましょう。
良性のホクロの場合は、自費診療でのCO2レーザー治療も可能です。
5ミリを超えるほくろについて
5ミリを超えるものは手術を検討します。
いぼ
疾患名はウイルス性疣贅と呼ばれ、ヒト乳頭腫ウイルスが皮膚に感染してできます。
イボは小さな傷を通してウイルスが皮膚や粘膜に入り込み基底細胞に到達することによって出来るため、外傷を受けることの多い手足や外陰部に、あるいはアトピー性皮膚炎の子供たちなどの特に引っ掻くことの多い肘・膝窩にイボができ易いとされます。
皮膚の表面がガサガサしており見た目はウオノメに似ています。ウオノメと違うところは、皮膚の表面近くにまで血管が通っているので、イボには黒い点々があります。
血管が通っているので、分厚くなった皮膚を削ると少し切っただけでも出血します。
特に症状がない場合も多いので、気がつかない間に自分の体のほかの部分に移ったり、他人に移してしまう恐れがありますので治療が必要です。
治療
液体窒素による冷凍凝固術、外用治療(ビタミンD3軟膏、サリチル酸)、ヨクイニン内服療法 など
できもの
いわゆる皮膚腫瘍で、良性のものから悪性のものまで様々な腫瘍があります。 皮膚がん(悪性腫瘍)かどうかの検査をします。
できものの検査
問診、視診や触診に加え、ダーモスコピーという特殊なレンズを使用しての検査や、 皮膚生検を行います。
できものの治療
これらの検査を行い、皮膚がん(悪性腫瘍)ではなく良性腫瘍であると診断した上で、「できものを取りたい」というご希望がある場合には、治療の計画を立てています。
ニキビ
ニキビができる原因
ニキビ(尋常性ざ瘡)の直接的な原因は、皮脂(皮膚のあぶら)の過剰な分泌と毛穴の詰まりです。
ホルモンやストレスなどの影響により過剰に分泌された皮脂が毛穴に溜まり、面皰(めんぽう)という状態になります。
この毛穴に溜まった皮脂を栄養源にして、ニキビの元となるアクネ菌は増殖していき、赤みや膿などの症状を招きます。
大人ニキビの原因
乾燥肌、ホルモンバランスの乱れ、不規則な生活、睡眠不足、紫外線、ストレスなど、様々な要因が複雑に絡み合ってできることが多く、治りにくいのが特徴です。
ニキビはよく“青春のシンボル”などと言われますが、医学的には尋常性ざ瘡というれっきとした皮膚疾患です。
ニキビができると気分的にもすぐれず、日常生活に影響してきます。
また、ニキビのケアが不十分だと「ニキビ痕」(色素沈着やクレーターなど)が残ってしまうこともあります。
ニキビ痕が残って後悔しないためにも、ニキビ症状が現れたら放置せずに皮膚科でご相談なさるよう、お勧めいたします。
ニキビの治療
ニキビの治療にあたっては、ニキビの種類と重症度を判断し、外用薬(毛穴のつまりを取り除く薬、抗生物質など)、内服薬(抗生物質、ビタミン剤、漢方薬など)、面皰圧出(針で患部に穴を開けて出口をつくり、毛穴に溜まっている皮脂を押し出す方法)等のなかから選択します。
特に近年、新しい外用薬が保険適用となり、以前治療を受けていてお薬が合わなかった方もぜひご相談ください。
適切なスキンケアや生活習慣の改善も大切です。
自費診療となりますが、ケミカルピーリングやレーザー治療、トレチノイン療法もおすすめです。
尋常性乾癬
乾癬(かんせん)とは?
乾癬と診断される全体の9割が尋常性乾癬です。
赤い発疹の上に、分厚い麟屑(りんせつ)と呼ばれる白い垢が付着した発疹があらわれます。ウイルスやカビなどの微生物は関係無い病気なので、人にうつす事はありません。
乾癬の原因
乾癬の原因はまだ完全にはわかっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があることはわかっています。その遺伝的素因に様々な環境因子(ストレス、不規則な生活や食事など)が加わると発症するといわれています。
乾癬の症状
乾癬の皮膚では、炎症を起こす細胞が集まって活性化しているため、毛細血管が拡張し、皮膚が赤みを帯びた状態になります。
肘や膝、頭などの身体の摩擦を受けやすい部位に発症する傾向が多く、ひどいかゆみがあらわれる人もいれば全くかゆみがあらわれない人もいます。
乾癬の治療法
外用薬などで日常生活に支障のないストレスフリーな皮膚を目指します。
掌蹠膿疱症
(しょうせきのうほうしょう)
膿が溜まった膿疱と呼ばれる発疹が、手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)にたくさんできる疾患で、周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。中年以降の方に多くみられます。
掌蹠膿疱症の原因
長期にわたる喫煙や、扁桃炎、虫歯、歯科金属アレルギーが原因のひとつと考えられています。
また、発疹の中の液体からはウイルスや細菌は見つからず、自己免疫(自分自身の組織に対して免疫が攻撃的に作用すること)が関係する疾患ではないかとも推測されていますので、他人にうつることはありません。
掌蹠膿疱症の治療法
病巣感染や金属アレルギーなど、病気を悪化させる要因があればまずはそれらを取り除くようにします。
この病気は細菌やウイルスが原因ではないため、抗生物質のような薬は効果がありません。そのため、炎症を抑える対症療法が主になります。
巻き爪
巻き爪とは、爪の両端の先端部が、大きく内側に湾曲した状態を言います。
特に負担のかかりやすい足の親指の爪になることが多く、爪を深く切り過ぎたり、先の細い窮屈な靴を長時間履き続けたりすることが原因で起こります。
また、爪が指の皮膚に食い込んで強い痛みが生じたり、場合によってはジュクジュクした肉が盛り上がったりすることがあります。
巻き爪が進行すると、肉の部分に曲がった爪がどんどん食い込んでいき、次第に炎症や痛みを引き起こすようになります(陥入爪)。さらに、曲がった爪に巻き込まれた皮膚が化膿してしまい、歩くことが困難になるケースさえあります。
また、巻き爪の痛みから足をかばおうと、いつもとは違った歩き方をしてしまうために、足首や膝、腰にも負担がかかり、捻挫や膝痛、腰痛の原因になるケースもあります。
ですので、巻き爪は単に「見た目が悪くなってしまうだけのことだ」などと安易に考えず、きちんと治療することが大切です。
巻き爪の治療
テーピング、チューブ挿入、マチワイヤー法など、症状に応じて治療法を選択します。